通訳案内士(通訳ガイド)試験の季節が近づいてきました。

DELEやスペイン語技能検定と並び、「スペイン語3大資格」のうちのひとつですが、 
通訳案内士は何といっても国家資格。しかも、年に1回しか試験がないという難関資格です。

スペイン語のレベル的には、(私の個人的な感想ですが)DELEのB2~C1、スペイン語検定3級程度だと思います。必要とされる語彙もそれほどマニアックなものは出題されません。普段からスペイン語に接している人であれば、合格可能なレベルです。

しかし、ひとつだけ注意点があります。それは、スペイン語だけ勉強していたのでは受からない、ということです。
通訳案内士は、その名の通り、スペイン語の語学力を試すテストというよりも、来日したスペイン語話者に対して日本を案内したり、国際会議で通訳をする「通訳案内士」になるための試験です。

だから、外国語試験以外にも、日本史・地理・一般常識の試験も課すわけですが、外国語試験についても、普通のスペイン語の試験とは異なり、通訳ガイドとしての仕事を想定した内容となっています。それでは、試験内容について具体的に見ていきましょう。年度によって出題形式は変わりますが、大体以下のような問題が出題されます。

1.長文読解
スペイン語の長文を読み、日本語の設問に答える問題。
設問は、空欄補充、内容理解、正誤問題、下線部訳です。近年は、読解問題が毎年2題出題されています。 

2.西文和訳
10行程度のスペイン語を和訳する問題。
基本的には日本の分野や習慣に関する文ですが、日本とは関係のない文章が出題されることもあります。
日本に関する知識を持っていないと、解答できません。特に、固有名詞(地名等)を漢字で書けないと痛いです。

3.和文西訳
10行程度の日本語をスペイン語訳する問題。
日本の文化や習慣について書かれた文章をスペイン語に翻訳します。しかし、スペインその他留学先の生活にどっぷり浸かってしまうと、語彙力は伸びますが、意外と日本に関する単語に抜け落ちがあったりするので、注意が必要です。

4.作文
日本に関する1つのテーマに対して、10行~12行のスペイン語で作文する問題。
これが結構難関です。私はこれに手こずりました。「にぎりずし」「バレンタインデー」「富士山」「花見」等の日本に関係したものがテーマとなります。さて、皆さん、これらのテーマについてスペイン語で説明できますか。もちろん、日本人であれば知っているテーマなので、スペイン語でうまく説明できると思います。

しかし、問題なのは、10行~12行で書けという点です。これが意外と長く感じます。日本語ですら、10行~12行で説明できるか怪しいです。「にぎりずし」をひとことで説明するのは簡単ですが、10行~12行うんちくを並べながらスペイン語で作文するというのは、スペイン語の語学力以上に、日本に関する相当な知識が必要となります。「にぎりずし」について説明できる人は、「巻きずし」や「押しずし」だったらどうでしょう。上記テーマについてスラスラ書けそうな人は、「ホワイトデー」や「合掌造り」についても同様に作文できるでしょうか。普段から意識してうんちくをつけるようにしないと対応できない問題です。通訳案内士には、そのような能力が求められるということです。

5.単語
日本語の単語をスペイン語に訳す問題。
約15問出題されます。 単語帳の勉強だけでは答えることができません。決して難しい単語ではありませんが、見落としがちな単語が出ます。最近は時事ネタが出題される傾向にありますので、新聞をチェックしておくとよいと思います。


長々と書いてしまいましたが、通訳案内士試験で求められるスペイン語のレベルは決して高過ぎることはありません。中級以上の能力があれば大丈夫です。しかし、それ以上に日本に関する知識が要求されるので、その習得にかなりの時間がかかると思います。一年に一度の試験ですが、一年間の準備期間があると考えれば、少しずつゆっくりと知識を増やしていくことができますね。

通訳案内士試験の内容や試験対策のオススメ参考書については過去記事を参考にしてみてください。
『通訳案内士試験(スペイン語通訳ガイド)の対策』


通訳ガイドスペイン語過去問解説 平成24年度問題収録

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